コンテナ貨物の温度変化について

東京海上 クレームジャーナル2008、8月号より

1.はじめに

 海上輸送においてコンテナが使用され始めたのは約50年前のこと。今では様々な貨物の輸送に欠かせないものになっています。その種類も用途ごとに分化しており、特に温度調節の可能なリーファー・コンテナ(reefer container)は食品・化学製品などの海上輸送において盛んに使用されておりおます。

2.リーファー・コンテナの特徴

 リーファー・コンテナは、その保温能力により様々な種類がありますが、通常のドライ・コンテナに比べて高い機密性・断熱性を備えています。内部には冷却電源があり、コンテナ内を冷気が循環する仕組みになっています。一般的なリーファー・コンテナは+18度から-30度までの間で温度を設定することができますが、零下の温度で設定したときには定期的に霜取りを行うため、数時間~十数時間に一度の頻度でコンテナ内の温度が一時的に上昇します。しかし、この温度上昇は空調機の付近で一時的に発生するものであり、コンテナ内の貨物に与える影響は非常に小さなものです。荷主がコンテナ内にサーモメーターを設置した場合、定期的に温度が上昇するグラフを書くことがあります。これは、このような霜取りが間違いなく行われていたことを証明するものであり、むしろコンテナ内の温度が正常であったことを示しております。

3.リーファー・コンテナにかかわる事故

このようなリーファー・コンテナでも、温度変化による事故は存在します。代表的なものとしては冷凍設備自体の故障、電源部分の故障(これには、コンテナ自体の電源故障の他、船側の電源供給設備の故障、コンテナ・ヤードでの電源設備故障があります)、温度設定の過誤、そしてコンテナ自体の物理的損壊による機密性の損失が挙げられます。
貨物が到着した際に、
解凍損害の形跡(一度貨物が解凍した後、再度凍結している等)が発見された場合は、輸送中に何らかの理由でコンテナ内の温度が大きく上昇した可能性があります。実際にどの程度まで温度が上昇したかを確実に把握するためには、荷主側でコンテナ内にサーモメータなどを入れて、その記録を調べる必要があります。
特に温度設定の過誤は人為的なミスが混在することが多いので、注意が必要です。多くのリーファー・コンテナは、誰でも簡単に温度設定をすることができる構造になっています。貨物の性質に詳しい出荷主が設定温度を決めるべきですが、慣行として船会社が出荷主にコンテナを引き渡す前から温度設定をしていることが多いようです。したがって、出荷主側でバンニングの際に設定温度をしっかりと確認することが大切です。現実にはこの確認が積地で十分に行われていないことがありますので、出荷主側に定期的な注意喚起をされている受荷主もあります。

4.ドライ・コンテナで大丈夫?

 氷点下以下の輸送がひつようである食品などはリーファー・コンテナを使わなければ海上輸送できないことが分かりますが、冷凍する必要はないものの一定の温度以下で運ぶ必要のある貨物に対し、ドライ・コンテナか、リーファー・コンテナかのいずれを使うかの判断基準はどのようなところにあるのでしょうか。
この問題は、ドライ・コンテナで輸送した場合、最大何度くらいまでコンテナ内の温度が上昇する可能性があるかとうい点に集約されます。ご存知のとおり、コンテナ船はコンテナを甲板の上に何層にも積んで輸送します。この際、どこに自分のコンテナが積まれるのかは分かりません。もし、最上段の、日光が一番当たるところにコンテナが積まれたとしたら、何度くらいまで温度が上昇するのでしょうか。
この点、航路や天候にも左右されるので一概に断言することは難しいですが、熱帯地方を通過する航路では摂氏60度程度まで上昇することを予測する必要があります。また、コンテナ内の温度も非常に高くなるため、日本が冬場である場合には温度差による汗かき損害にも注意する必要があります。さらに、コンテナ船内では日光の当たらない船腹部に積載されていたとしても、中途港での積替時や日本到着後のコンテナ・ヤードで一定期間仮起きされることも多いため、このタイミングでコンテナ内の温度が上昇してしまうことも考えられます。
最近、食品を中心に色々な製品で「安全性」が厳しく求められており、特に輸送中の温度変化は軽視できない問題になっています。
摂氏60度程度くらいから品質劣化が発生するような貨物を輸送される場合は、リーファー・コンテナや冷蔵コンテナの使用を検討されてみてはいかがでしょうか。

(コマーシャル損害部 国際クレーム室・輸出グループ 近藤)

コンテナ船の輸送ルートと、温度変化(ドライ、リーファー)対比グラフはこちら